テネシー・ウィリアムズ原作の「欲望という名の電車」
私は、ヴィヴィアン・リー主演の映画化されたものを二回見ました。
家庭が没落し、没落した後の現実が受け入れられない、姉ブランチと、没落した後の境遇の中から、自分を良しとしてくれる人と結婚し、現実を生きる妹ステラの物語です。
この作品の主役は、姉、ブランチです。自分の現実を受け入れ難いものと感じるブランチは、凄まじい煩悶を抱きます。作者は、ブランチの人生の闇をえぐるように描いていました。
私は、この映画を見るたびに思うのです。自分の人生でこんな事が起きたら、脇役のステラの方が明らかに幸せではないかと。
滅びるものは美しいというのは、もしかしたら、作家にとって描きたい、魅力的なテーマかもしれません。
しかし、リアルの人生でこれを理想の女性像と他人から言われたら、たまったものではありません。
私が何度もこの映画を見たがるのは、私自身が、かつて自分と周りの環境との折り合いのつけ方に悩んでいたからかもしれません。
今の私は、周囲の環境と折り合いをつけるところまで、やっと届きました。
多くの女性が、ステラの方の生き方を選ぶ気がするのですが。