千代子の初めてのアルバイトは、ウェイトレスでした。
働く人も、千代子と同年代で、すんなりと仲間に入れてもらえました。
当時は、職場でニックネームで呼ぶのは、それほど問題とされていませんでした。
しかし、千代子に付けられたニックネームは、「おばさま」
悪くはないです。しかし、良くもないです。
何だか上品風、しかし、若々しさのない人という事なのでしょうか。
千代子は、こう見えて(?)負けん気の強いところがあるのです。
ひた隠しにしていますが、長いつきあいのある友人からは、「負けず嫌いのところが
あるよね」と見抜かれてしまいます。
口の利き方で、人から見下されたくない、なんて思い、挨拶や敬語の本などを、若い頃は、真面目に読んでいたのでした。
その結果、付けられたニックネームが、「おばさま」
当時、千代子は二十歳だったのです。
うーん、今、思い出しても、やはりビミョーなニックネームです。
「おばさま」は、やがてリアルで、甥や姪を持つ様になりました。
彼らは、私の事を千代子(仮名)ちゃんと呼びます。
現在の千代子は、「おばさま」という言葉から程遠い、貫禄のない人間なのですが。