これは、蜷川幸雄さんの演出された芝居で良く使われていました。主人公が長いセリフを語る時、この音楽が背景として使われて、その後、舞台は暗転という事が多かったと思います。
何回か、その様な場面を観てきた千代子は、この曲は、何だろうと気になっていました。
駅前の紅茶専門店で紅茶頂いていた時に、この曲が流れていた時に、思い切って店員さんに、聞いてみました。
「あの、前からこの曲が気になっていたんです。曲名を教えてもらえますか」
店員さんも、そんな事は聞かれた事は、今までなかったのでしょうか。CDケースで確認して、曲名を教えてくれました。
もう、三十年くらい前の話です。
蜷川幸雄さんの演出した芝居は、現在、観る事は出来ません。それでも、観た体験から千代子は、この曲と出会う事が出来ました。
昔の記憶をさかのぼると、千代子は子供の頃から歌舞音曲が好きだった気がします。外では、同い年の女の子と、おはじきやゴム飛びをして遊んでいました。それでも、家の中では、教育テレビ、今で言うEテレで舞台中継を観るのが好きでした。オペラのアイーダや、バレエの白鳥の湖を白黒のテレビで観ては、わくわくしていたのです。
今でも、ねずみの国に行くと歌舞伎座に行くなら、歌舞伎座に行くの方が、前日からテンションが上がります。
劇場には、久しく行っていません。この曲をYouTubeで見つけた時、また芝居を観に行きたい、なんて思いました。