千代子が通っていた高校は、二年になると調理、被服、書道、音楽が選択となっていました。
料理は好きなので、調理にしようかと思いましたが、調理は、実習の翌日には、一点ずつのカロリーを計算したものを提出する必要がありました。
宿題がないから、音楽という何とも後ろ向きな理由で、音楽を選択したのでした。
音楽でも、学校ですから試験はあります。
その時の試験が、先生のピアノに合わせて一人一人、この枯葉を歌うというものでした。
枯葉どころか、新芽にもなっていない子供を相手に、この曲。ほとんど先生の趣味としか思えません。しかし、試験です。やはり前日には、歌詞を憶えました。
それから、数十年。千代子は、シャンソンはあまり聞く機会は、ありませんでした。
しかし、その音楽の教科書に載っていた、愛の賛歌は、後年、会社員となりカラオケで熱唱していたのです。
やはり、どんな経験がどこで役に経つかわかりません。
ちなみに、私のカラオケの愛の賛歌を聞いた人からは、「無駄に歌がうまい」という言葉を頂いたのでした。