無法松の一生。この日本映画が好きで、BSで録画したものを消さずに何回も見てしまいます。
主人公の車夫の一途な思いに、見ていてうるうるしてしまうのです。
軍人の未亡人とその子供を、温かく見守り、決して見返りを求めない心根の気高さに、何か私たちが、置き忘れたのは、こういう気持ちではないかと思うのです。
主人公を、喧嘩っ早い粗野な人間と設定しているからこそ、その心の芯にある、自分が触れてはいけないものへの憧れが、くっきりと見えて来る気がするのです。
気持ちを伝えるのも、愛情かもしれません。しかし、気持ちを伝えないという形の愛情も存在するのだと教えられました。
気持ちが疲れた時は、人間の造ったものから少し離れた方がいいそうです。
けれど、この映画を観ると、こんな素敵な映画を作る人、演じる人、なんて素晴らしいのだろうと思ってしまいます。
今、あまり疲れていないという事なのでしょうか。