生きてるだけで丸儲け。
これは、明石家さんまさんが、お嬢さんにイマルと名付けた由来とされています。
千代子は、この言葉に、子供に向けられた深い愛情を感じてしまうのです。
これが出来ないとダメ、あれが出来なと認められない。
職場は、他人に認めて貰う、他人から信頼を勝ち取るための、努力を続ける場所です。
しかし、この「生きてるだけで丸儲け」は、それと真逆の価値観です。
あなたは生きているだけで意味がある。あなたの価値は、相対ではない、絶対だ。
いい言葉だなあと、しみじみ思います。
今、クネオ君は、好きな曲つけっぱなしにして、くたーっとした顔をして、ソファーでうたた寝をしています。
その無防備な姿を眺めていると、千代子は結婚して自分の家族を持つまで、他人のこんな姿を見た事がなかったのだと、改めて思います。
結婚したら、そこでめでたしめでたしとは、いきませんでした。そこから始まる山あり谷ありもあります。
それでも、こんな安らかな姿で、クネオ君はくつろいでいる。それを眺める千代子自身、やはり、今、くつろいでいる。
生きてるだけで丸儲け。
これは、クネオ君に向けて、そして千代子自身に対しても言いたい言葉です。