2020年1月発行
韓国のベストセラーとなったエッセイ。日本でも、Amazonでベストセラーとされています。
韓国も、厳しい競争社会の様です。身を削る思いをして、勉強や仕事に打ち込んでも、報われない事に、疲れを感じた著者が書いたエッセイです。
この著者は、それでも40代で、そんな生存の競争から下りる事が出来て、その体験をエッセイにしたところ、多くの人の共感を得ています。競争から下りる事の出来ない立場の人から見れば、まだ運がよかったのではと思います。
千代子がこのエッセイを読んで共感したのは、著者の説く、人生は結果ではなでく、過程だと説くいう部分です。
物語を見ずに結果だけで人を評価するような習慣は、いつしかブーメランのように戻ってきて自分の人生を評価する。自分の人生は失敗だと判断し、成就しなかった恋は時間のムダと決めつけ、他人との単純な比較で自分の人生が惨めに思える。
しかし、それがすべてではない。もっと正確に言うとそう見えるかもしれないが、それが全部ではないという話だ。
誰にでも目に見える以上の多くの物語がある。
そうなのよ。本当にそうなのよ。
例えば、千代子の人生をキャッチコピーにしてしまうと、こんな感じでしょうか。
【本人は必死に生きたつもりでも、空回りを続けた女性が語る半生】
この一行で済んでしまうかもしれません。でも、この半生を語る所に届くまでは、本人には、多くの葛藤やら困難もあったのです。
その部分は他人には見えない。見えないから、想像できない。それでも、本人の千代子まで、この葛藤や困難を乗り越えた自分を認めずに、自分より成功した人を羨んでばかりいたら、千代子は、いつ、自分を肯定できるのでしょうか。
電車の中で、膝を開いてうたた寝をしている、おじちゃんや、おばちゃんも、若い頃には、成就しなかった恋愛に泣いていたのかもしれません。
今の、目に見える部分だけで、そんなおじちゃんやおばちゃんを評価しないで下さいね。