ベッドタイムアイズは、1985年に発表された作品です。
設定は、日本人のクラブ歌手と米兵との出会いと別れです。
この作品が発表された当初、設定と作者の山田詠美さんの私生活を切り離さず、スキャンダラスな見出しが週刊誌に見られる事が多かった事を記憶しています。
今日、改めて読みました。
発表された当初に読んだ時は、私もやはり設定と使われる言葉についていけない気持ちがありました。
しかし、読み終えた今、これはやはり、言葉にならない感情を言葉として定着させたいという、作者の強い気持ちが生み出した、恋愛小説としか思えません。
性愛から始まる恋が、愛へと昇華して行く過程を、作者は自分の使う言葉で描こうとしている気がします。
猥雑な世界に生きる人間が、パートナーへの気持ちを伝える事が出来ず、葛藤する姿を笑える人がいるのでしょうか。もし、いるのでしたら、私はその人とは、友達になれません。
この小説は、好き嫌いが分かれるかもしれません。
しかし、作者の山田詠美さんが、現在も小説を書き続ける事を止めないという事実が、発表当時のスキャンダラスな記事に対する反論ではないかと思います。
私は、この小説が好きです。