頭のいい人、悪い人
2022年発行
出版社 プレジデント
この本は、今日、散歩をして、コンビニでアイスをかった時に、棚にあったものを、気になって、買いました。
下のタイトルが、「バカな物知り」に騙されずに賢く、しぶとく生きる知恵と技術」
実に、挑発的なタイトルです。
しかし、読み始めたら、食い入る様に、読み続けました。
こんなに、集中して読書をしたのは、何か月ぶりでしょう。
この本の中で、一番はっとしたのは、和田秀樹さんの言葉です。
僕が15年くらい前にすごく影響を受けた言葉があります。精神分析の師匠である土居健郎先生の言葉なのですが、「和田君ね、人間、死んでからだよ」って。
生きているうちに売れるとかウケるとか賢いと言われるとかってあまり意味がなくて、本当にいいものなら死んでからでも残る、ということらしい。
そして、いまの僕もわりとそんな気がするわけです。現状に汲々としたり、出世しようとしたり、「頭がいい」と言われようとしたりしていると、人間がショボくなる気がするのね。
中野信子さんは、東大大学院卒業、和田秀樹さんは、東大医学部卒業。
千代子は、お二人の頭の良し悪しを評価できるほどの人間ではありません。
はっとしたのは、「人間、死んでからだよ」の部分です。
はるか昔、卒論を書く時、対象にする作家を選ぶ際、ルールがありました。
それは、「既に亡くなった作家、あるいは、全集が出版された作家」というものでした。
長い年月を経ていないと、多くの著作がないと、研究の対象にならないというものです。
作品について、あるいは人間についての評価は、慎重に行うべき事だという事を、この言葉から思い出しました。
千代子は、目先の事、せいぜい半年先くらいまでの事しか考えず、迷っています。
和田秀樹さんの言われる、「ショボくなる」人間が、千代子なのだと、思い知らされました。
刺激的なタイトルです。しかし、千代子には、研究者の矜持を見せてもらえた気がしました。
ああ、千代子は、俗物です。