8月には、終戦記念日があります。
千代子は、小学校から高校まで公立の学校、大学は私立の学校に通っていました。
小学校の学級文庫には、さりげなく、少年朝日年鑑が置かれ、中学校では、はだしのゲンが置かれていました。
小学生の時、戦地ではこの様な酷い事が行われている事を知った千代子は、自分の幸せに何か後ろめたいものを感じていました。
やがて、千代子は私立の大学に進学しました。
80年代当時、大学の進学率は25%くらいでした。
千代子よりも成績の良い同級生が、家庭の事情で就職をしたり、公務員になっていくのを見ていました。
自分よりも優秀な人が、大学に進学できない事を思うと、やはりそこでも、自分が進学出来たのは、学力だけではない、運の良さと後ろめたさを感じていたのです。
その中で、大学に進学するのは当たり前、目の前の世界が安全なら、それでいいという、付属から来た人の、屈託のない明るさに、違和感を感じました。
それから、約40年近く経過しています。
今なら、違和感を感じた同級生も、卒業後は、等しく困難を乗り越えて来たのかもしれないと思う様になりました。
千代子は、子供を育てるという経験がなかった人間です。
自分の今、思っている事が絶対とは思えません。それでも、もし、子供を育てるなら、公立、私立、両方を経験し、今の自分の目の前に広がる世界が、世界の全てではないと感じる子供になって欲しいです。