以前、千代子は、「フランス人は10着しか服をもたない」というエッセイを楽しく読んでいました。
アメリカから、フランスに留学した女性が、パリの女性の暮らし方を描いたものです。
カジュアルな服を季節ごとに買っていた女性が、パリの女性の必要な服だけを買い、大切に着る生き方に触れるものです。
なかなか、おもしろいと思いました。
自分にとって、必要なものを見極めるというのは、服だけではなく、すべてに通じる話ではないでしょうか。
千代子は、この本を読んでから、自分の服の見直しをしました。
必要ない服は、リサイクルショップに売りに行き、値段がつけられないくらい傷んだものは、思い切って捨てました。着られなくなったTシャツは、ハサミで切り、窓やエアコンの屋外機を拭くのに使いました。
必ず、着られる状態にしておかなくてはならない服は、実は喪服だけではないかと思います。環境の変化で、体重の増減がよくあり、喪服は何回か買いなおしました。
毎年、服の見直しをしているうちに、自分の好みの色やかたちも、把握しました。
千代子の場合、グレーか紺の服、中に白のTシャツというのが、一番出番の多いのです。
小物や靴も、それにあったものとなると、そんなに頻繁に替える必要がありません。
気が付くと、千代子も、多くの服を持たなくても何とかなるという状態になりました。
手元に残した服は、大切に着たいです。