もうすぐ、バレンタインデーですね。
千代子は、先週の土曜日に外出した時、その事を思い出し、少し早いチョコレートを買いました。
このレオニダスのチョコレート、右側のオレンジピールのチョコレートがけが、クネオ君の好きなチョコレートです。しかし、バレンタインデーしか、渡しません。
かつて、千代子がクネオ君に、プレゼントをした時、クネオ君から涙ぐまれた事がありました。
それは、結婚する前です。
千代子は、会社を退職するかどうか、悩み続けていました。
クネオ君は、「結婚するからいいじゃない」と言ってくれました。
千代子は、退職しました。まだ、両親への挨拶も済ませていません。
父のコロナのワクチンの接種が終えた後に、挨拶に行くと話をしていました。
3月に退職しました。退職者が多い月ですから、すぐに退職金が支給される訳ではありません。
クネオ君は、千代子にだまって、月に17万も手渡しました。
当時、クネオ君自身は、千代子の家の近くのURの団地に住んでいました。
千代子が、「住居費がもったいないから、籍を入れる前に住まない?」と提案しました。
その時、クネオ君は、「いや、僕は、君のおとうさんに信頼されたい」といい、頑なに一緒に住もうとはしませんでした。
千代子は、休みの日にうちに来たクネオ君に、多めにミートローフを焼き、「お昼ごはんにして」と言い、渡しました。
クネオ君は、「こんな事をしてくれるの?」と言い、涙ぐんていました。
千代子だけでなく、クネオ君も、再会するまで寂しい生活をしていたかもしれません。
父のワクチンの接種が終わり、日曜日に挨拶に。その後、クネオ君のご家族にも挨拶に。
翌日の月曜日に入籍しました。
クネオ君が、現在、病気になっても、千代子は「あの時の恩返しのチャンスが来た」としか、思っていません。
クネオ君から貰ったプレゼントは、品物だけではありません。思い出も沢山貰いました。