お座敷小唄。昭和生まれしか、ご存じないのでしょうか。
この歌は、千代子ではなく、中学の同級生が休み時間になると、いつも歌っていたのでした。
同級生、体の大きな、五厘刈りにした、野球部員です。
野太い声で「富士の高嶺に降る雪も…」と休み時間になると歌うのです。
何故、この歌に魅かれたのか、それほど親しくない千代子は、尋ねる事もありませんでした。
ちなみに、千代子が通った中学校は、校舎の周りは畑です。
毎年、来られる教育実習の先輩も、「緑の豊かなこの中学に戻り」から、必ず挨拶を始める様なところです。
花街とは、ほど遠い環境です。
あの同級生は、どこでこの歌を知ったのでしょうか。
謎です。
彼は、この歌と「雨の法善寺横丁」をよく歌っていました。
何が彼の琴線に触れたのでしょうか。
謎です。
そんな事を思い出す時、人間って、めんどくさいけれど、面白いと思ってしまいます。