千代子は、サイゼリヤの看板を見ると、何とも言えない感慨に襲われます。
ものすごく働いていた頃、勤務が終わるのが22時でした。
お酒も飲めません。通勤に時間もかかります。
頼みの綱のサイゼリヤは、22時は閉店しているのです。
ああ。そのまま遠距離の家へ向かいました。
もう、食事など作っていたら、睡眠時間が確保出来ません。
コンビニで玉子サンドを買い、夕食としました。
お風呂を沸かす時間が惜しく、即シャワー、シャワーの後は即、髪を乾かし、その後は、即就寝という日々でした。
当時、クネオ君と休日に会っていました。ランチをした後、お茶を飲んでいたら、椅子に座っているだけでも、辛く感じるほどの、だるさを感じました。
クネオ君に「今日は、疲れているから帰りたい」と午後3時に言い、家に帰り、寝ました。
冬の日でした。本当は、夜にイルミネーションを見る予定でした。
これでは、結婚できないと思い、退職しました。
イルミネーションは、その翌年の冬に二人で見に行きました。
仕事の話をする時、忙しさを自慢気に話す人もいらっしゃるかもしれません。
千代子は、あんな仕事の仕方を誰にも真似して欲しくありません。