千代子は、ずっとアラミスの香りが好きでした。
自分でも着けたいとおもいながら、アラミスを女性がつけるのはどうなのかと、迷い続けていました。
今は爽やか、軽いオードトワレが主流の世の中。ネットで見ると、若い人のアラミスに対する評価のよろしくない事も。
「アラミスとシャネルの19番は、昭和の香り」等。
すいません、千代子はそのどちらも好きな香りです。
クネオ君にも、話しました。「アラミス、昔から好きだけど、女が着けるのは、やはりダメなのかなあ」
クネオ君は、そんなに好きならとアマゾンで注文してくれました。
久しぶりに手元に届いたアラミス、記憶の中のアラミスよりも、はるかに深く、温かく、アラミスの香りです。
はあ、やはりアラミス。昭和でもいい。昭和生まれだし。
古くてもいい。古いんだもん。
世の中が日々、アップデートする中で、三十年近く前から好きだった香りを今でも入手出来て、千代子はうれしいです。
思い出しました。子供の頃、鶴田浩二さんが歌っていた歌がありました。
♪古い奴だとお思いでしょうが、古い奴ほど新しいものを欲しがるものでございます。どこに新しいものがございましょう♪
古い私が欲しいと思ったものが、時の流れに淘汰されずにきちんと入手できるのは、やはり、アラミスを三十年以上好きだ、魅力的だという方が一定数いらっしゃるという事ではないでしょうか。
はあ、久しぶりに嗅ぐアラミスに、うっとりしています。
少し大げさですが、やり残した事、気にかけたいた事を、実現した気持ちです。